2025/02/16
非定型肺炎:マイコプラズマ肺炎、クラミジア肺炎について
非定型肺炎とは聞きなれない言葉ですが、肺炎球菌などの一般的な細菌とは異なる性格を持つ菌(マイコプラズマ、クラミジア等)により引き起こされる肺炎の総称です。
マイコプラズマ肺炎 マイコプラズマ肺炎は小児に多い疾患で、成人では30歳台に多いです。主に飛沫感染で流行します。感染した人の約10%に肺炎がみられます。潜伏期間は2-3週間で、発熱や全身倦怠感、咽頭痛から始まり、乾性咳嗽が出現します。自然に治ることが多い疾患ですが、まれに重症呼吸不全や多臓器不全に至る例も報告されています。 診断のための検査は、従来は採血やレントゲンで行われていました。採血で抗体価を測定しますが、診断に日数がかかるため有用ではありません。レントゲンでは特徴的なすりガラス影を認め、これで一発診断できることが多いです。最近は咽頭ぬぐい液を用いた抗原検査も用いられますが、感度が低くて見逃しが多いのが難点です。 治療はマクロライド系という抗菌薬を使うことが一般的です。しばしばマクロライドが効かないタイプのマイコプラズマがいますので、そういった症例にはニューキノロンやミノサイクリンといった抗菌薬を用います。副作用の観点から、特に小児患者では、最初からニューキノロンやミノサイクリンを用いることは慎むべきと考えられています。
クラミジア肺炎 クラミジアは人から人へ飛沫感染しますが、ほとんどの人は不顕性感染といって感染しても症状はありません。潜伏期間は3-4週間で咽頭痛や嗄声などで発症し、頑固な咳嗽が出現します。自然治癒することが多いので、未診断例が多いと考えられています。レントゲンですりガラス影を認めます。採血で抗体価を測定して診断できますが、やはり結果が出るのに日数がかかりますので有用とは言えません。 治療はテトラサイクリン、マクロライド、ニューキノロンといった抗菌剤を用います。
当院では約15分で結果が出るPCR機器を用いてマイコプラズマ、クラミジアの病原体の診断が可能です。一般的な抗菌剤で治癒しない頑固な咳嗽がある方は、遠慮せずお早めに受診ください。
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