2024/10/23
気管支喘息発作
気管支喘息の発作は死亡に直結する重要な問題です。現在でも年間1,000人前後が気管支喘息の発作で亡くなっています(現在は発作ではなく気管支喘息増悪と呼ぶルールになっていますが、わかりにくいので本稿では発作と呼ばせていただきます)。その一方で気管支喘息の治療薬は劇的な進化を遂げており、正しく治療を行なっていれば発作を起こさず生活することが可能になっています。
気管支喘息の発症のピークは2つあり、全体の9割の患者さんが6歳までに発症します。残りの1割の方は60歳前後で発症します。小児期に発症した患者さんのほとんどは青年期までに寛解という状態になります(一旦治ります)。それと対照的に、成人してから発症した方は寛解に至ることは少ないです。
発作を起こしたときの症状には、咳、息切れ、痰、喘鳴、呼吸苦といったものがあります。ゼーゼーヒューヒューする喘鳴が最も特徴的ですが、ゼーゼーヒューヒューしていなくても治療が必要なことがあります。ゼーゼーやヒューヒューが聞こえないから大丈夫とは限りません。
発作時にはまず顔色の評価や聴診をしますが、最も簡単な検査に酸素飽和度測定があります。新型コロナ流行時におなじみになった、指先にセンサー付きの機械を挟んで測定するものです。これが95%以上であればまず大きな問題はありません。酸素飽和度が測れない時や数値が低すぎる時は、動脈から採血して血液中の酸素濃度や二酸化炭素濃度を測定します。また、肺炎の合併の有無などを見るために白血球やCRPという炎症反応も調べます。ここまでの検査機器は当院でも一通り揃っており、すぐに結果が出ます。
治療は酸素投与、気管支拡張剤吸入、全身ステロイド投与を行います。上記3点は当院外来でも行える治療ですが、症状が重症な際や長期に渡って治療が必要な際は病院を紹介して入院していただくことになります。
はっきりとヒューヒューしていなくても、咳が止まらず呼吸が苦しい時、横になって眠れない時などは喘息発作を起こしている可能性があります。なんだか苦しいなと感じた際は、早めに当院または夜間救急外来を受診することをお勧めします。
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